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患者・医療従事者が考える 肺がん手術後に抱える思い・望むこと

手術、術後補助療法を終えた今、患者さんが思うこと

田丸:私は手術を受けてから約7年が経過していますが、今も再発に対する不安は手術を受けた当時とまったく変わりません。ただ、この7年間で患者会の方々と知り合うことができたり、自分で再発後の治療について勉強することで情報を正しく理解することや頭の中を整理することができました。そう考えると、たとえ今後再発してしまったとしても、治療を終えてからのこの期間は、前へ向かっていく力を身につけることができた貴重な時間だったのではないかと思っています(図1)。

松本:松本:私も現在、手術から約7年が経過しています。手術を受けた後しばらくは、先ほども申し上げたとおり、「いつ再発するのだろう」ということばかり考えて不安になっていました。そのような状況の中、患者会の方に「再発したらダメなのか?再発したらまた治療を受ければいいじゃないか」といわれたことでとても気持ちが楽になり、救われた思いがしました。それからは気持ちを切り替えて前向きに考えることができるようになり、今は家族や周りの方々に感謝しながら毎日を大切に過ごすようにしています(図1)。

図1 肺がんの治療の経過と患者さんの気持ちの変化(田丸さん・松本さんの場合)
図1 肺がんの治療の経過と患者さんの気持ちの変化(田丸さん・松本さんの場合)

医師から手術や術後補助療法を受ける患者さんへのメッセージ

川上:最後に手術や術後補助療法を受ける患者さんに向けて、今後の期待も込めたメッセージをお願いします。

岡田:本日は田丸さん、松本さんのお話を伺うことで肺がんの患者さんの思いを知ることができ、有意義な時間を過ごすことができました。
肺がんの治療では、手術、術後補助療法、また、再発後の治療においても目覚ましい進歩がみられています。現在、手術後の再発をいかに抑えるか、生存期間をいかに延長させるかといったことを検討するためにさまざまな臨床試験が実施され、エビデンスに基づいた新たな治療の登場が期待されています。
手術や術後補助療法を受けた後も不安なく楽しい人生を送っていただくためには、患者さんがご自身の状況をしっかり理解し、治療に関する情報も正しく理解することが大切です。われわれも患者さんと正しい情報を共有できるように、また、患者さんにとって有望な多くの治療を1日でも早く届けることができるように、今後もさらに努力していきたいと考えています。

《医師》駄賀 晴子 先生 駄賀:これまで手術を受ける患者さんのサポートは基本的には外科医が担当していたのですが、田丸さん、松本さんのお話を伺って、われわれ内科医も積極的に患者さんをサポートしていく必要があると感じました。
また、岡田先生がおっしゃったとおり、今後、新たな治療が出てくることによって、治療期間が長くなったり、これまでの治療ではみられなかった副作用の発現も想定されるため、患者さんにより安心して治療を受けていただけるように院内のチーム体制もしっかり整えて、患者さんのサポートに取り組んでいきたいと思っています。

《医師》駄賀 晴子 先生

川上:みなさま、本日は貴重なお話をありがとうございました。

  1. 「術後補助療法」とは、手術後にがんの再発予防におこなわれる治療です。術後補助療法に使用される抗がん剤が「細胞障害性抗がん剤」に分類されている薬剤の場合は、「術後補助化学療法」と呼ばれます。