日常生活の中で行うリハビリテーション

呼吸リハビリテーションを継続する工夫

呼吸リハビリテーションは、できるだけ長く継続することで良い結果が期待できます。1人でおこなうより、家族や仲間、医療者らのサポートを得ながらおこなうほうが切れ目なく継続できることが分かっています。また、無理をして強い運動をおこなうより、日常動作を少し意識する程度の取り入れ方を考えましょう。

呼吸リハビリテーションを継続していくための工夫を教えてください。

まず、リハビリテーションの必要性を理解して、モチベーションを上げることが大切です。

今までできないと諦めていたことに再チャレンジすることや、趣味や興味のあることなどに関連した具体的な目標を作ります。

できれば、治療を開始する前から治療後をイメージして、具体的な目標を立てておくと良いと思います。

壮年期の患者さんでは社会復帰、高齢者では家族と一緒に旅行するなどが、目標になりやすいと感じています。

たとえば、「孫と一緒に1日、動物園を見て回る」などはどうでしょう。子どもたちはよく動き回るので、それに合わせて行動するだけでも相当な運動量が必要になることを予定しておかねばなりません。

このように達成したい大きな目標を立て、必要な運動量と持続時間を概算し、日々の活動の中で、最初は1日3,000歩ぐらいから始め、週ごとに1,000歩増やしていき、約2ヵ月程度かけて8,000~10,000歩程度に到達するように、段階的に小さな目標に分けて立てるようにします。毎週、どの程度達成できたか、進捗はどうかなど、目に見えるかたちで頑張りを評価できるようにすることも継続のコツです。

また、家族や医療者とともに指標となる検査結果などの経過を追い、呼吸リハビリテーションの効果をともに実感することは継続に大きな影響を与えます。

兵庫医科大学 リハビリテーション学部 学部長・教授
博士(医学)専門理学療法士(内部障害)・認定理学療法士(呼吸)・臨床工学技士・呼吸療法認定士・呼吸ケア指導士

(学歴)
京都大学医療技術短期大学部 理学療法学科(現 京都大学医学部人間健康科学科)卒業
大阪教育大学大学院健康科学専攻 修士課程 修了
兵庫医科大学大学院医学研究科生理学専攻 博士課程 修了

(職歴)
星ヶ丘厚生年金病院(現 星ヶ丘医療センター)リハビリテーション部 理学療法士 大阪府立大学 助手
京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 准教授
を経て現在に至る。

玉木 彰 先生
玉木 彰 先生
兵庫医科大学
リハビリテーション学部
学部長・教授