ソトイコ!
ゆるっと「街ブラ」 Vol.1<解説編>
街をブラブラ歩く“街ブラ”は、決して有名なスポットだけのものではありません。歩き慣れた普段の街でこそ、自分を解放し、気持ちよくなれるというもの。Vol.1の<解説編>では、“街ブラ”のコツや楽しみ方について、絵地図師・散歩屋として活躍中の高橋美江さんに伺います。
普段の街を歩いて癒される「お散歩セラピー」のススメ
運動が苦手でも、散歩ならできるという方も多いのではないでしょうか。目的もなく、ただブラブラと街を歩き回るだけで、なぜか頭も心もスッキリしているもの。私はそれを「お散歩セラピー」と呼んでいます。
なぜ、「セラピー」になるのか? 専門的なことは研究者にお任せするとして、「外を出歩くことでいつもと違う風景やモノに出会い、それだけで楽しい気分になる。さらに、好奇心が刺激され、何かを知りたいという興味がわき、生き生きとした自分にも出会える。その結果として “自分を解放できる”から」だと、私は考えています。
そのためには「歩き慣れた普段の街」を歩くことが一番のおすすめ。というと、「近所の街なんて面白みがない」という方もいるでしょう。でも、身近な街、見慣れた街ほど、無意識に歩いていることが多いもの。つまりは「見落としていること」が多いんです。
監修:高橋美江さん
高橋デザイン室主宰。イラストレーターの仕事の1つとして始めた絵地図が人気を博し“絵地図師”として活躍。またその経験をもとに“プロの散歩屋”としても活動中。
自分の感性が街ブラの羅針盤。心のままに楽しんで
心や体に元気が足りないと、どうしても外出がおっくうになりがち。“散歩屋”の私でもそうです。でも、とにかくまずは一歩、踏み出してみると、心が上を向くということも多いものです。
外出のきっかけは何でも構いません。テレビで見た新商品が気になればスーパーへ、花が好きなら近所の公園や花屋さんへ、心の赴く場所を訪ねてみましょう。今はインターネットが発達して家に居ても色々なことができてしまいますが、「用事はなるべく外で済ませる」ようにすれば、それが外出のきっかけにもなります。
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街には多くの「モノ・コト」があふれています。「食べ物」「人」「街並み」「木や花」「建物」「看板」「お寺や神社」など。外に出てみれば、その中から感性に引っかかる、“ちょっと気になるもの”が見つかるはず。それが見つかれば、見慣れたはずの街が変わって見え、「もっと見たい、もっと知りたい」と、ますます散歩にハマっていくと思いますよ。
感性に引っかかるものを見つけて街ブラを楽しむコツ
そうはいっても、初めのうちは感性に引っかかるものを見つけることは難しいかもしれません。そんな方におすすめなのは、「カメラ」です。スマートフォンのカメラ機能でOK。まずは家の中でも構わないので、目に映るものをどんどん撮影してみましょう。
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ポイントは、「対象を平等に見ること」です。「ここはいつも通る道だから」などと先入観を持たず、当たり前と思うようなものにもカメラを向けてみてください。カメラを通して見ると、普段とは違った“ものの見方”ができるようになります。見たものを自分がカメラでどう“切り取るか”にも、自分の感性に引っかかるものを見つけるヒントが隠されているのです。「この道あまり通ったことないな」という道に冒険心を出してみるのも、シャッターチャンスに出会うきっかけになるかもしれません。
街ブラを楽しむコツには、もう1つあります。それは、人と触れ合い話すことです。八百屋さんでもいいし、よく行く施設の窓口の人でも構いません。当たり前の日常会話でも、そこにはインターネットやテレビでは得られない「生の情報」があります。何気ない会話ほど、心を癒し、ときに活性化させてくれます。いきなり誰かに話しかけるのは、ハードルが高いものですが、「お客さんとお店の人」といった関係があれば、話しかけやすいのではないでしょうか。
そして、ぜひ家族や友人と一緒に“街ブラ”してみてください。患者さんグループのメンバーと一緒でもいいですね。同じ風景を見て、全く違う気づきがあることに感心したり、同じように感じたことを共有したり、誰かと経験を分かち合うことは大きな喜びとなり、生きる支えになります。家の中では言えなかったことも案外素直に打ち明けられるのも、“街ブラ”効果と言えるでしょう。
街歩きに正解なし!まずは外に出てみましょう
“街ブラ“には正解はありません。「こうしないといけない」と考えず、頭を空っぽにしてまずは街に出てみませんか。
感性が導くまま、のんびり街歩きを楽しむだけでもいいし、写真や自然観察、食べ歩きなど、ご自分の興味のあることを散歩に絡めてもいいでしょう。
2018年2月掲載