食のチカラ
しっかり食べるための7つの工夫
病状や治療内容によっては、食事に関して主治医の判断が必要な場合があります。
適切な食事・栄養については、主治医とよく相談してください。
肺がんになって食べられなくなる理由はさまざま。気分がふさいで飲み込みにくくなったり、治療の副作用などの影響で吐き気や味覚障害といった症状が出たり、また体力が衰えて食欲そのものが減退することもあります。そうした問題を解決して、しっかり食べるためには、調理上だけでなく、さまざまな工夫が役立ちます。そうした工夫の中から7つ、ご紹介します。
監修:川口美喜子先生
大妻女子大学・大妻女子短期大学部 家政学部 食物学科 教授。管理栄養士(医学博士)。著書に「がん専任栄養士が患者さんの声を聞いてつくった73の食事レシピ」(医学書院)。
1.食べることについて話してみる
食べ物にまつわる思い出話や好き嫌いなどの話をしているうちに、食欲がわくことがあります。「子どもの頃によく作ってもらったメニューがあった」「故郷は海の近くでサザエご飯をよく食べた」というように、家族で話をしてみましょう。
2.食卓に上げるものを減らしてみる
食欲がわかないときに、食卓にズラッと食べ物が並ぶとかえって食べられなくなることってありますよね。1切れを小さくしたり、ワンプレートにコンパクトに盛りつけたりしてみましょう。栄養バランスも意識できれば合格です。
3.食べる準備体操をする
いきなり食事の時間と言われても、なかなか食欲がわかないもの。食事の前に、ちょっと酸味のある果物などを1口含むと唾液が出て、食欲がわいてきます。
4.口をゆすぐ・スープからいただく
口が渇いていると飲み込みにくいので、口をゆすいで潤いを与えるとよいでしょう。スープからいただくようにすると、自然と食が進みます。
5.季節感やイベント感を盛り込む
桜の時期に花見弁当風にしたり、夏場のうな丼、秋にはきのこご飯など、季節やイベントを意識した献立は食べる意欲をかき立てます。①のように思い出話をしながら食卓を囲むとさらによいですね。
6.ちょこっと栄養補給を考える
1回の食事でカロリーを賄おうとするとなかなか大変。そこで、お茶の時間に紅茶にジャムを落としたり、チョコレートを一片食べたり、「食べる」を生活の一部に取り入れるとよいでしょう。
7.優れた栄養剤を賢く使う
自然の食べ物で栄養を摂りたいという気持ちはわかります。でも、どうしても普通の食事が喉を通らないこともあります。そんなときにはしばらく栄養剤を食事として選びましょう。口にモノを入れ、飲み下す「食べる」という刺激は生きる力をつないでくれます。
2018年6月掲載