お仕事お悩み相談室
求職中の悩み
治療に専念するためとはいえ、「戻りにくくなるのではないか」「このまま退職させられるのではないか」と休職に不安を感じる人もいます。安心して休職するにはどうしたらよいのでしょうか?
監修:近藤明美先生
近藤社会保険労務士事務所/特定社会保険労務士 キャリアコンサルタント。
(社)CSRプロジェクト(Cancer Survivors Recruiting)にも参画し、長年にわたって、がん経験者の就労相談に取り組んでいる。
- 治療にめどがついてきたので、仕事を探そうと思っています。どこに相談すればよいですか?
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意外に見落としがちなのが「元の職場」で、もともとの仕事ぶりが評価され、新たに復職した人もいます。一方、キャリアチェンジの機会として新しい職場や仕事を探すのなら、利用したいのが「ハローワーク」です。現在、厚生労働省の「長期療養者就職支援事業」によって、病気の知識を持つ就職支援ナビゲーターが、一人ひとりの希望や治療状況を踏まえた職業相談・紹介を行っています。希望する就業先に電話で条件の確認をしたり、要望を伝えたりすることも可能です。全国47都道府県にそれぞれ1カ所以上窓口となっているハローワークがあり、連携先のがん診療連携拠点病院で出張相談を行なっています。事業を実施しているハローワークや連携先の拠点病院に問い合わせてみるとよいでしょう。
- 履歴書に既往歴や病名は書かないとだめですか?
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治療が一段落していて仕事にほとんど影響がなく、職場に配慮してほしいことがないならば、あえて伝える必要はないと思います。たとえ定期的な通院が必要でも、頻度が多くないのであれば「持病があるから」という程度でよいでしょう。逆に、伝えた方がすっきりするというならば、面接の際に事情を説明するのもよいと思います。どちらが正しいかというより、自分として納得感がある方を選ぶことが大切です。
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休職から求職中にかけての治療費・生活費が心配です。
公的にはどのような支援を受けられるのでしょうか。 -
1つは「雇用保険」があります。退職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間(賃金支払基礎日数が1日以上ある月)が12ヵ月以上あることが条件で、退職理由や加入期間などで受け取り開始日や金額が変動します。なお、病気が理由で退職した場合は「やむを得ない自己都合」の特定理由離職者として会社都合退職(特定受給資格者)と同等の扱いになり、3ヵ月間の待機期間を待たずに受け取ることができます(所定給付日数の優遇はありません)。
注意点として、雇用保険はあくまで次の仕事を見つけるまでの“つなぎ”という位置づけなので、給付を得るためには「働く準備ができている」ことが条件です。つまり、がんで離職した場合でも、仕事ができる状態ならすぐに受けられますが、そうでない場合は先送りすることになります。基本的には退職日の翌日から1年以内に受給することが必要ですが、病気療養中の場合は、申請すると最長で退職日の翌日から4年以内に受け取ればよいことになります。●失業保険の受給期間の延長例
もう1つは「傷病手当金」です。病気やけがによる労務不能日の4日目から、標準報酬日額※の3分の2を受け取れるというもので、支給される期間は同一傷病につき1年6ヵ月です。健康保険に1年以上加入していた人が退職時に傷病手当金を受給していた場合、在職中に受け取っていた期間を除き、退職後も引き続き受け取ることができます。ただし、「退職日当日に働けない状態であること」が前提になるので、無理して当日に仕事をしないよう気をつけましょう。
- ※ [支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額]÷30日
●傷病手当金は退職後も継続して受け取れる
2017年10月掲載