思考のスイッチ

私たちの脳は、同じ事実に出合っても、過去の個人的な体験に基づいて人それぞれ異なる受け止め方をして、さまざまなことを考えます。

たとえば、がんが見つかって患者さんとご家族が一緒に病院に行き、医師から同じことを聞いた場合でも、患者さん自身とご家族では考えることは異なります。それぞれに「陥りやすい思考」があるのです。

私は普段、がん患者さんとご家族の心のケアを目指したカウンセリングを行っていますが、患者さんとご家族ではその内容は微妙に変わってきます。

このコーナーでは、患者さんとご家族を明確に分け、それぞれが「陥りやすい思考」とその対策(認知行動療法)をご紹介します。新しい見方でとらえ直す「思考のスイッチ」により、あなたのいまのつらい気持ちが少しでもやわらぐことを望んでいます。

保坂 隆 先生
保坂サイコオンコロジー・クリニック院長
聖路加国際病院臨床教育アドバイザー

慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授(精神医学)、聖路加国際病院精神腫瘍科部長・リエゾンセンター長などを経て現職。そのほか、聖路加国際大学臨床教授、京都府立医大客員教授、東京医科歯科大学医学部非常勤講師などを兼職。

保坂 隆 先生