光線力学的治療法
光線力学的治療(photodynamic therapy: PDT)とは、がん細胞に集まりやすく光に反応しやすい物質(光感受性物質)と比較的エネルギーの低いレーザー光を用いて、レーザーとその物質の光化学反応でがん細胞を壊す治療法です。
治療対象として推奨されるのは、肺の入り口付近にできた(中心型)早期肺がんの中で、がんの大きさが長径1.0 cm以下のものです。
PDTは、光感受性物質が集まったがん細胞のみを低いエネルギーで化学反応を起こして治療するため、レーザー光のみによる物理的な破壊に比較して、正常組織への障害が少ない治療法です。
手術に比べても患者さんの身体的負担は軽くQOLの維持・向上に寄与すると考えられています。
なお、光感受性物質の副作用として日光過敏症がありますが、薬剤の進歩により改善が試みられています。また、肺炎などの予防のため、治療によって壊された組織を気管支鏡を使って除去する必要があります。
参考:
・日本光線力学学会「PDTとは」
・日本肺癌学会編:肺癌診療ガイドライン2024年版,金原出版株式会社
監修:日本医科大学 呼吸器内科
臨床教授 笠原寿郎先生
2019年3月掲載/2024年11月更新