肺がんにおける先進医療とは
先進医療とは?
先進医療とは、大学病院などで研究・開発され、効果・安全性などの評価が定まっていない新しい試験的な医療技術のうち、厚生労働省が保険適用を検討している治療法です。
効果・安全性の情報が不十分なことから、一部の医療機関でのみ実施が認められています。他の試験的な診療行為と同様、保険診療として実施するにはいまだ十分な有効性・安全性の情報が得られておらず、標準治療と比べて科学的根拠が不十分な治療です。
肺がんにおける先進医療の内容
2022年6月1日現在、先進医療として83種類の医療技術が認められています。そのなかで、肺がんの治療に用いることができる医療技術には、陽子線や重粒子線など特殊な放射線を用いた治療法や、薬物療法の新しい投与法や、新規の遺伝子検査などがあります。
先進医療の費用について
先進医療にかかる費用は、患者さんの自己負担(保険適用外)となります。その他の診察料、検査料、投薬料、入院料などは公的医療保険が適用されます(混合診療)。
先進医療にかかる具体的な費用は、医療技術の種類や実施施設によって異なります。
例
陽子線治療・・・1件あたり、約407万円
重粒子線治療・・・1件あたり、約240万円
先進医療を受けるメリット・デメリット
先進医療のメリットとしては、患者さんの治療の選択肢が増えることが挙げられます。
デメリットとしては、保険適用外のため、標準的ながん治療に比べて高額となる場合があること、治療の有効性と安全性の情報が不十分であること、厚生労働大臣が指定した医療機関でしか実施が認められていないことが挙げられます。
参考:
・厚生労働省:先進医療の概要について
・厚生労働省「先進医療の各技術の概要」2022年2月1日現在
・厚生労働省「令和2年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」
監修:日本医科大学 呼吸器内科
臨床教授 笠原寿郎先生
2019年7月掲載/2022年6月更新