腫瘍マーカー(血液検査)
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腫瘍マーカーとは
主にがん細胞が産生する物質で、血液や尿等の体液で測定できるものです。肺がんでは、血液等を使って測定します。がんの種類ごとに使用する腫瘍マーカーは異なります。腫瘍マーカーは肺がんを診断するための検査ではなく、肺がんと診断されたあとに、治療効果や再発等その後の病勢を知るための参考となる検査です。
腫瘍マーカーの数値により、がん細胞の増殖する勢いがわかるので、治療効果がどの程度あったかを知る参考になります。また、治療後に正常化した腫瘍マーカーが異常値を示すときは、がんが再発あるいは再び大きくなっている可能性があり、それを知るための参考にもなります。
また、肺がん以外の病気があるときにも異常値を示すことがあるので、いくつかの腫瘍マーカーを組み合わせることで肺がんの再発や進行を推定します。腫瘍マーカーはあくまでも目安であることに注意しましょう。
腫瘍マーカーの種類
肺がんでよく使用されている腫瘍マーカーには次のようなものがあります。
肺がんのタイプや病期(ステージ)によって検出率が異なります。また、肺がんの他にも複数のがんの腫瘍マーカーとして使われているものもあります。
非小細胞肺がんの主な腫瘍マーカー
- ・CYFRA(シフラ)21-1(サイトケラチン19フラグメント)
- ・CEA(がん胎児性抗原)
- ・SLX(シアリルLex-i抗原)
- ・CA19-9
- ・CA125
- ・SCC(扁平上皮がん関連抗原)
- ・TPA(組織ポリぺプチド抗原)
小細胞肺がんの主な腫瘍マーカー
- ・NSE(神経特異エノラーゼ)
- ・ProGRP(ガストリン放出ペプチド前駆体)
カッコ内は正式名称ですが、診療の場では略号で呼ばれることが一般的です。
強調しておかなければならないことは、腫瘍マーカーはあくまで診断の補助のための検査だということです。マーカーが低いからといってがんがないとは決していえません。逆にやや数値が上がったことでむやみにおびえる必要はありません。数字で出てくる検査はX線写真やCTに比べてわかりやすいように思ってしまうものですが、決してそうではありません。腫瘍マーカーの結果については、どう解釈すればよいのか医師にも意見を求め、適切に理解することが大切です。
参考:
・日本肺癌学会編:肺癌診療ガイドライン2022年版,金原出版株式会社
・日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック2022年版,金原出版株式会社
監修:日本医科大学 呼吸器内科
臨床教授 笠原寿郎先生
2022年12月掲載/2023年10月更新